世界中の女性の願望

2011.03.31

美しくなりたい。それは世界中の女性の願望だろうが、全身をすっかり変えてしまいたいというのは、その見た目が、人生のあらゆる局面に悪影響を及ぼし、精神的にかなり追いつめられたケースにおいてであろう。十二世紀初めころに成立した『今昔物語集』に出てくる「金剛醜女」は、まさにこのケースだ。彼女は天竺(インド)のお姫様。そのすさまじい呼び名は、「肌は毒蛇のよう。体臭が臭くて人も近づけない。太い髪は左巻きで鬼のようであるという容姿のために、父大王につけられた。そして父によって、宮殿の北から八山ほど離れた場所に幽閉されていた。これだけでもう立派なトラウマというか、精神的に追いつめられるには十分の経験ではあるが、加えて、絶世の醜女である彼女の母后は、絶世の美女であった。このため姫が十二、三歳になると、姫も美人であろうと想像した十六か国の大王が結婚を申しこんできた。が、姫の父大王は、それらをすべて断り、ひとりの男を大臣に仕立て上げて娘の婿にとり、彼女の部屋に住まわせた。大臣は姫の醜さを恐れ、昼夜、嘆いた。
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