女性をコルセットから解放したのは果たして誰なのか?

2011.05.17

ファッションの歴史を紐解くと、このポール・ポワレという人は女性をコルセットから解放した祖たるデザイナーだと記されています。でもその史実に僕は疑問を感じるんです。確かに当時は、パリ万博の開催によって世界各国の異文化が紹介され、オリエンタリズムやエキゾティズムの象徴としてアートの分野でも日本的な異国情緒の影響を受けた美人画が描かれています。ポール・ポワレにしたって当然この流れ、今でいうトレンドに飛びつこうとしたのでしょう。それがキモノ風ローヴやホッブルスカート、『千一夜物語』をテーマにしたエキゾティックな作品へと展開されていったわけです。確かにシルエットやフォルムという見地から見れば、それまで女性の身体をこれでもかとコルセットで締めつけて、豊かなバストとくびれたウェストに丸いヒップという“S字型シルエット”を強制していたファッションからは女性を解放したのかもしれません。でもこれってブルジョワジー相手のお遊びっていう感じが否めないんです。映画『モダーンズ』でも描かれていたような特権階級のカルチャー・サロン的なノリだったはずです、しょせんは。そんなブルジョワジー達の権威主義を根底からくつがえして、女性を本当に精神的なコルセットから解放するには、ココ・シャネルという天才デザイナーの出現を待つことになるんです。