日本人の遺伝子がなした文化的な側面だと解釈すれば21世紀に私たちがどのような文化を発信すべきなのかが少し見えてくるようにも思える。さて何が日本的なるものなのか。まずわかりやすいのがコンビニ好きなことだ。これにはコンビニエンスストアという場所が好きなことに加えて、コンビニ=便利という概念そのものにも価値を置いている。住宅照明での白色蛍光灯による異常な明るさに呼応し、コンビニの空間は「明るさ+白さ+均一性」を優先する。そして、大半の欧米人が裸の蛍光灯を眩しいと酷評するのに対し、日本人はこのコンビニの天井にはびこる裸の蛍光灯を眩しいと感じていない。むしろグレア(眩しさ)を明るさと混同する傾向にさえある。蛍光灯の白さはモダニズム(近代主義)の象徴でもあり、白こそが日本の近代をデザインしたとも言える。また、小さいものに価値を見いだすのも特徴的で、照明器具なども理由のある大きさのものでさえ無理して小型におさめる努力をいとわない。だからLEDなどの極小光源の扱いは最も得意とするところに違いない。さらにカオスの活力が嫌いでないことも挙げられる。私自身、取り澄ました欧米の都市環境も悪くないが、むしろアジアの混沌とした都市に見飽きることのない魅力を感じている。しかし、何と言っても特筆すべきは先端技術に対する信奉であろう。少し怖いぐらいに日本人は技術指向が強い。照明デザインにおいても光源開発技術やそれを応用した器具開発技術、さらに光学制御や調光制御に対する品質とこだわりに関しては比類のないものがある。それら雑種な日本的なる現象や性癖のなかに、私は新しい価値を示す可能性を見る。灯火の時代から培ったあかりに対する美意識と、屈折した高度経済成長と、その破綻を経験した私たちが、さらなる先端技術を駆使して照明文化を提示する局面に至った。それを強く意識しながら臨むべきではないだろうか。